滋賀県は近畿地方北部にあり、その周囲を福井、岐阜、三重および京都の各府県に囲まれた立地である。県の中央よりやや北側に国内最大の湖である琵琶湖(670平方キロメ−トル)があり、その面積は県全体の約17%に及ぶ。一方、県の北西部には比良山地、東部の岐阜県境には伊吹山地、南部の三重県境には鈴鹿山脈が存在する。平地は琵琶湖南部の近江盆地が県内最大である。立地的な主な特徴は、日本海から比較的近いこと、脊梁山脈の標高が比較的低いことおよび琵琶湖が存在することである。
気候は琵琶湖を境界として湖北地方と湖南地方におよそ二分される形となるが、県東の伊吹山地から鈴鹿山脈に延びる山間部地域では若干様相が変化する。余呉あるいは木之本などの湖北地方は若狭湾から至近であり、その間に大きな脊梁山脈が存在しないため概して冬季に降水量が多い日本海岸式気候である。一方、大津、近江八幡および彦根などの湖南地方は夏の高温寡雨、および冬季の温暖気候など瀬戸内式気候に近い。
気温は通年で琵琶湖岸で高く周辺部で低い。夏季は彦根周辺および志賀から琵琶湖大橋付近で高温となり、冬季の低温は北西部の比良山地および東部の伊吹山地周辺で顕著になる。湖南地方において気温が高い理由は、夏季の盆地気候による昇温、冬季の季節風が温暖な琵琶湖の影響をうけて低温緩和が生じるためである。季節風については夏季の「さき風」と呼ばれる南東風、冬季の「比良おろし」とよばれる北西季節風などが有名である。
降水量については湖北と湖南地方でその差異が明確である。滋賀県における冬季の降水量は北部に顕著であり、その分布は緯度に従順である。それは湖北の余呉は大津の約6倍の降水量がみられることでも明らかである。また夏季は琵琶湖および湖南地方を含む県央地域で降水量が少なく周辺山間部に多い。通年では北部および周辺山間部において多く、近江盆地で少ない傾向がある。湖北の余呉における年間降水量は約2500mm、湖南の大津では1700mm程度である。また近江盆地南部では1600mm以下になる地域もある。